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経営
2026-06-13(更新: 2026-07-15) · 約5分 · Leconee 開発者

個人講師の価格設定:適正な月謝・レッスン料の考え方

レッスン料を「なんとなく相場」で決めると消耗します。固定費から下限価格を計算する式、レッスン外時間を含めた実質時給、手数料の逆算、値上げの実務まで、計算過程つきで組み立てる実用ガイド。

個人講師のレッスン料は、安すぎると消耗し、高すぎると新規が来ない。そして多くの人が「近所の教室と同じくらい」で決めて、後から苦しくなります。この記事では、感覚ではなく計算で価格を組み立てる手順を、順番に式を置きながら説明します。電卓を用意して、自分の数字を入れながら読んでください。

手順1:下限価格を計算する(ここより下は赤字)

最初に出すのは「理想の価格」ではなく、これを下回ったら続けられない下限です。式は単純で、月の固定費 ÷ 月に提供できるコマ数の上限。

例で計算します。教室の家賃相当が月5万円、光熱費・教材・保険・ツール代で月1万円、固定費合計6万円。週20コマが体力の上限なら月80コマ…にはなりません。祝日・体調・空き枠の埋まらなさを考えると、現実の稼働は上限の6〜7割です。月50コマとすると、6万円÷50コマ=1,200円。これが「1コマ1,200円を下回ると、自分の取り分がゼロでも赤字」のラインです。

この計算のいちばんの効能は、体験レッスンや割引の設計に歯止めができることです。下限を知らずに「初回500円」をやると、埋まれば埋まるほど苦しくなる構造に自分で入ってしまいます。

手順2:実質時給でレッスン外時間を織り込む

次に自分の取り分です。ここで見落とされるのがレッスン外の時間。準備、片付け、連絡対応、教材研究、移動。個人教室の場合、レッスン1時間に対して30分〜1時間の付帯時間が発生するのが普通です。

つまり「60分5,000円」は時給5,000円ではありません。付帯時間が30分なら実質時給3,333円、1時間なら2,500円。ここから固定費按分(手順1の1,200円)も引かれます。自分が欲しい時給から逆算するなら、式は「希望時給 ×(1+付帯時間の比率)+ 固定費按分」。時給3,000円が希望で付帯比率0.5なら、3,000×1.5+1,200=5,700円が60分レッスンの目安になります。

手順3:手数料を逆算して「手取り」で考える

オンラインのカード決済で受け取る場合、決済インフラの手数料が引かれます。Leconee の場合、実効の控除率はプランによって9.46%(Free)・7.26%(Pro)・6.16%(Studio)です(プラットフォーム手数料と Stripe 手数料の税込合計。現金・振込の現地払いなら0%)。他のサービスでも数%〜10%程度の控除は共通の構造です。

大事なのは、表示価格ではなく手取りで目標を立てて、表示価格を割り戻すことです。式は「表示価格 = 欲しい手取り ÷(1 − 手数料率)」。手取り5,000円が必要で手数料が9.46%なら、5,000÷0.9054≒5,523円。500円刻みに整えるなら5,500円です。

欲しい手取り手数料9.46%の場合の表示価格手数料7.26%の場合の表示価格
3,000円3,314円(→3,300円)3,235円(→3,300円)
5,000円5,523円(→5,500円)5,392円(→5,500円)
8,000円8,836円(→8,800円)8,627円(→8,700円)

手順4:相場は「調べる」もので「従う」ものではない

ここまでで自分側の数字が出ました。最後に市場側です。相場の調べ方はシンプルで、同じ地域・同じ対象(子ども/大人、初心者/経験者)の教室を3〜5件、公開価格で並べるだけ。ネット記事の「全国平均」は地域も対象も混ざった数字なので、参考になりません。

並べた結果、自分の計算値が近隣の最高値より高くても、慌てて下げないでください。価格は質のシグナルでもあります。特に大人向け・専門特化のレッスンでは、安さがむしろ「大丈夫かな」という不安材料になる。相場より高い分の理由(専門性・実績・少人数・設備)を予約ページで説明できていれば、価格差は成立します。逆に、計算した下限より相場が低い場合は、価格ではなく形式を変える局面です(個別をやめてグループにする、時間を短くする等)。

値上げの実務:新規から先に、既存はまとめて丁寧に

価格は年1回見直すのが健全ですが、値上げの順番には定石があります。まず新規の受講生から新価格を適用する。予約ページの価格を変えるだけなので、摩擦はありません。

既存の生徒さんは、2〜3ヶ月前の予告とセットで一斉に切り替えます。個別交渉にすると不公平が生まれ、あとで必ず漏れます。伝え方は「◯月から月謝を◯円に改定します。理由は◯◯です」と、理由を一文添えるだけで十分。長い言い訳はかえって不信感になります。値上げで数人が離れることは織り込んでください。全員が残る値上げは、上げ幅が小さすぎたということでもあります。

よくある質問

Q. 体験レッスンは無料と有料どちらがいい? A. 下限価格(手順1)を割らないのが原則です。無料体験は申込のハードルこそ下がりますが、「とりあえず」の層も集めます。1,000〜2,000円程度の有料体験にすると、件数は減っても継続前提の人の比率が上がります。どちらが正解かは教室の埋まり具合次第で、枠が余っているなら無料で母数を、埋まり始めたら有料で質を取るのが現実的です。

Q. 月謝と単発、どちらを主にすべき? A. 通う頻度が安定する業態(楽器・語学・子ども向け)は月謝が向きます。売上が読めるようになり、集金の工程も消えるからです。単発は体験・不定期層の受け皿として残す二段構えが定番です。

Q. 消費税はどう考える? A. 年間の課税売上が1,000万円以下の免税事業者であれば、受け取った額に納税義務はありません(インボイス登録をした場合は別です)。表示価格を「税込」として案内しておくと、受講生とのやりとりが簡潔になります。詳細は税理士か税務署に確認してください。


書いた人
Leconee 開発者

予約・決済プラットフォーム Leconee をひとりで開発・運営しています。 教室・サロン運営の実務とツールの中身の両方を知る立場から、実際の数字と実装に基づいて書いています。 Leconee に関する記述はポジショントークになり得るので、他社サービスの数字は必ず一次情報へのリンクを添えます。

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